国際保健学分野について
国際保健学とは?国際保健学の目的と医療全体における位置づけ
保健医療は人々の健康と福利の実現を目指す医学的知見の社会的適用であり、その有効性は社会構造、経済、文化・習慣、地勢など種々の社会的環境条件に規定される。 世界人口の大半は途上国に住み、今なお多くの人々が予防や治療が可能な病気で死んでいる。先進国では医療技術とその運用システムとの不均等な発展に起因する死と障害を余儀なくされている。 国際保健学は、広く地球規模の視座で人々の健康を阻害する諸要因を分析し、保健医療の有効性を最大限に発揚する方策を解明するための学であり、健康における平等の実現(人種や所得階層等によらずすべての人々が平等に健康を享受できる国際社会の実現)を目指す国際協力への学問的及び技術的な貢献と、グローバルな視点と知見を日本の保健医療の向上に生かすことを目的としている。
- (参考1) 医師が国際保健学を学ぶ意義
- (参考2) 国際保健に関係する専門職とキャリア
東北大学大学院医学系研究科国際保健学分野の活動
国際保健学分野は大学院重点化計画の一環として1998年に開設された新しい分野です。人々の健康と医療に関わる国際的な諸問題の解決と地球視野での共生が求められる時代を迎えて,国際的な視点による教育と研究がますます重要になっています。
国際保健学分野では
- 国際的な保健医療問題の正しい理解と解決のあり方に関する知見を形成する
- 国際保健研究者と国際保健専門家を育成する
- グローバルな視点と国際保健の知見を途上国と日本の保健医療の向上に生かす
ことを使命として、教育、研究、社会貢献活動を行っています。
「国際保健学」が対象とする領域は
- 医療の質と保健医療システムに関する研究
- ヒューマンセキュリティ(人間の安全保障)に関する研究(災害保健管理を含む)
- 保健開発政策と国際協力に関する研究
を主な研究テーマとしています。 これまでの主な研究及び活動は以下の通りです。
- 2005年度の研究事業一覧 (Excel)
保健医療の質と保健医療システム
医療および保健医療システムの質と安全性を向上させるシステム・アプローチの実践的方法論の開発を目的として、国内では、病院と産業界の品質管理専門家が協力して医療のTQM(総合的質管理)のモデル作りを目指す共同プロジェクト(NDP/TQM-Health)により「医療の総合的質管理に関する実証的研究」、「病院医療の質保証システムに関する研究」(ISO規準の医療への読み替え指針の作成)を推進するほか、インドネシアで「TQMの地域保健医療システム管理への応用に関する研究」や「小児保健医療サービスの質管理手法に関する研究」(ジャカルタ州保健局との共同研究)、フィリピンでは「システムの質の評価と途上国の保健医療システム強化支援のあり方に関する研究」(フィリピン医療保険庁との共同研究)などの国際共同研究を行っている。
また、その研究成果をもとに、日本、アジア、中米諸国を対象に参加型実証的改善技法(EPQI)指導者の育成を支援している。日本では、毎年秋にフォーラム「医療の改善活動」全国大会(医療のTQM推進協議会)を開催しているほか、2000年にはアジア5カ国を対象とする「地域保健医療の参加型実証的改善技法(EPQI)の教育指導者養成コース」を実施した。(WHO/WPR Oの協力による)。 また2002?2006年の5カ年計画で中米地域8カ国厚生省を対象に改善活動の指導者を養成する国際研修コース「地域保健医療の質管理」 (JICAの委託による)を実施している。
- 医療のTQM推進協議会 (外部リンク)
- NDP (外部リンク)
- 中米地域保健医療G.I. (PDF)
保健開発政策と国際協力
外務省の委嘱により、国際下痢研究所(バングラデシュ)の評価、MDG (Millenium Development Goals)にかかる日本の援助事業の評価、インドネシア経済危機の健康と保健医療サービスに与える影響の評価、などの評価調査を実施したほか、JICA の委嘱により、ボリビア・サンタクルス市の包括的救急医療システム(SISME)の計画立案、アフリカ諸国政策指導者を対象とする保健制度改革政策セミナー(世銀とJICAの共催)、インドネシア保健省ワークショップ「地域医療システム行政管理の自立発展性」などに協力している。 また、フィリピンの保健情報システムや結核対策プログラムの質の評価と改善に関する研究に取り組んでいる。
ヒューマンセキュリティ(人間の安全保障)
「人間の安全保障(Human Security)」における保健医療の役割を明らかにし、その実現に向けた国際協力のあり方を提案するための研究を行っている。 JICA緊急援助隊医療チーム総合調整部会や日本集団災害学会を通じて災害医療救援活動の標準化に取り組むほか、WHO/WPROの委嘱によりベトナムにおける洪水災害対策への助言指導を担当した。 なお、英語で単位履修が可能な医科学修士コース「Human Security & Public health」の2006年度開講を準備中であり、これを通じて人間安全保障を推進するアジアのリーダーの育成やネットワーク作りに貢献する計画である。
- 東北大学連携国際教育プログラム「ヒューマンセキュリティ」 (外部リンク)
- 東北国際保健研究会 (外部リンク)









